一人旅は鬼退治

あなたは一人旅をしたことがありますか?

テレビ番組で定番の「はじめてのおつかい」は、
お子さんの、はじめての小さな冒険を私たちに
見せてくれます。

小さい子どもが一人で、または兄弟姉妹でおつかいにいきます。
一人旅の途中、行く手を阻む 障害に出合います。

ある子どもは、犬が怖くて道を通れない。
何度も引き返しながら挑戦し、犬の前を駆け抜ける。

別の子どもは、買ったリンゴが坂道で落ち、
コロコロ転げていく。拾いに行って袋に入れる
けれど、また落っことして、再び取りに行く。

子どもは、「おつかいをして家に帰る」
というミッションを成し遂げようと、
障害を乗り越えていく。

今まで経験したことがないチャレンジをしているのです。
その勇気が、なんともほほえましく、感動します。

怖い気持や、投げ出したい気持ち、お母さんがいない
心細さを感じながら、それを乗り越えていきます。

一人旅で出会う鬼とは、安全な世界から出たくない気持ちです。

そして一人旅は、安全領域から出る出来事が次々起こるのです。

私が安全領域から出る一人旅をしたのは、
2010年11月。

アメリカの西海岸にあるエサレン研究所に
行った時でした。そこに住んでいる友人から

「今なら部屋が空いてるから来ない?」　

と連絡があり、色々調整してすぐに行くことに
しました。

日本国内では、言葉が通じるので、どこに行っても
何とかなります。でも海外は言葉が通じるか不安でした。
なぜなら私は英語が話せないから。

今まで海外に行く時は、英語が話せる人の後ろを
付いて行ってました。

けれど、この時は、たった一人で目的地まで
たどり着かないといけません。
アメリカ国内線への乗り換えがネックでした。

1時間半程度しかない乗り換えがスムーズ
にいけば、無事にたどり着けます。

ロスアンゼルスには定刻より早く到着。
乗り換え時間が2時間弱で余裕がでました。

これなら大丈夫だろう。そう思いながら飛行機を
降り、荷物を取りに行くと、

そこには、目の前に、長い長い長い行列。

「うっそー、何でこんなに長いの～!」

3路線の飛行機がほぼ同時刻に到着したよう。
でも、早めに着いたし、何とかギリギリでも間に合う。
大丈夫。
そう自分に言い聞かせて荷物を取って列に並びました。

しかし、1時間待ってもまだ列の先が長い。
徐々に焦ってくる。たまらなくなって係の人に、

「次のモントレー行きの飛行機に乗りたい。
時間が間に合わないから、順番を早くして
もらえないですか?」

チケットを手に訴えたけれど、

「並べ」　

という言葉しか返ってこない。

日本語が話せそうな人を捕まえて、同じことを言った。
何人もの空港職員に話しかけた。
でも結果は同じ。

「並べ」

私の順番が来たころには、出発5分前。

普通なら間に合わない。でも海外は定時出発がない場合もある。
遅れていることだってあるから大丈夫かも。

大丈夫、行ける!　そう自分に言い聞かせ、
国内線の乗り継ぎカウンターへ走った。

そこには、なんと日本人のスタッフが、

おぉ～ラッキー! その時点で、出発2分前。

「次のモントレー行き、間に合いますか?」

「あー、オンタイムで出発するようです。
　残念ですがもう乗れませんね」

「え～、どうしよう」

恐れていたことが現実となった。

目の前の日本人スタッフの人に何とかしてもらわないと、
私はたどり着けないかもしれない。

頭がフル回転し始めた。別の便への振り替えはどうだろう?

いつもは空いてる路線が、この日は祭りがあり、
他の航空会社も含めて、すべて満席。

空いているのは19時の便だけ。今は午前11時。
「まだ、8時間もある～」

日本人スタッフは他の人にも聞いてくれて、
あらゆる可能性を調べてくれた。

サンフランシスコまで飛び、そこから相乗りバスで
向かう方法など。

どの方法も私には難しい。英語で交渉する必要があるのと、
かかる時間を考えたら、到着時間に大きな差がないかも。
結局、確実に取れる夜の便まで、ここで待つことにしました。

厄介なのは、モントレー空港に友人が迎えに来る
ことになっていて、その友人と連絡がとれないこと。

日本人スタッフにエサレンに電話してもらった。
友人を呼び出してもらうけれど繋がらない。
もうエサレンを出たのかもしれない。
私の携帯の電池があまり残ってない。
電池がなくなれば連絡の手立てがなくなってしまう。

友人の携帯に何度もかけ、やっと繋がった。
私が予定していた昼に行けないことを告げると、
友人は夜に予定があり迎えに来れないとのこと。
空港からタクシーで来るよう言われた。
1時間かかるので費用も高いけれど仕方がない。

一連のやりとりが終わったのは1時間後でした。
乗り換えカウンターには、私しかいなかった。
私に1時間も付き合ってくれた日本人のスタッフが
天使に見えました。

「はじめてのおつかい」に登場する、親切な
おじさんのように感じました。

そして、モントレー空港に着いたのは夜の8時を
過ぎたころ。急いでタクシー乗り場を探す。
タクシーが2台止まっていて、前の車に誰か乗り込んでいる。
残りは1台。

「あ～、待って! そのタクシーに乗らないと」

私は大きなキャリーバックを持ち、叫びながら走った。
このタクシーに乗れなかったら、電話でタクシーを
呼ばないといけない。

そして、何とかタクシーに乗り込み、エサレンの住所を
見せて、ここへ行ってと告げる。

「これで一安心だわ～」ほっとしたら気が緩んだ。

アメリカ西海岸の1号線をタクシーは南下する。
街灯もない真っ暗の海沿いの道。
空を見上げれば天の川が広がっていた。

今にも星が降ってきそうなくらい綺麗な星空。
ゴールへたどり着ける私へのご褒美のように感じました。

そして、エサレンで友人とようやくご対面～。

「よく来たね～、良かった、良かった、会いたかった」

「私も! やっと会えた～、ホントに嬉しい! たどり着けて
　ホント良かった～♪」

2人でハグをして、再会を喜びました。

「この経験があれば、世界中どんなところにも行けるって
思うでしょう」

「うん、そう思う、何とかなるし、助けってあるんだね～」

ちょっぴり成長した自分を感じました。英語が話せなくても、
身振り手振りと熱意で伝わるもんだ。

鬼退治とは、自分の安全領域から出て一歩踏み出す
勇気を持つことだね。

自分の中の恐れや、不安を乗り越えると、その後には、
ちょっぴり成長した自分を感じられます。
内側から自信が溢れてくるのです。

来た時と同じロスアンゼル空港、行きは焦っていたので、
不親切な冷たい空港と感じたけど、

帰りは、何だか親しみのある暖かい空港に見えました。
世界が優しく感じられた不思議な感覚がありました。

あなたの人生の旅ではどんなチャレンジがあるでしょう。

先延ばしにしていたこと。

令和の始まりに、決めるのも良いですね。

今日も素敵な一日を♪

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時代が変わるとき、自分のこれからを考えるには
良い機会です。

募集の日程については、後日お知らせしますね。