ライフコーチはドローンです

「コーチ」って聞くと、テニスのコーチや、スケート、サッカーといった
スポーツのコーチを思い浮かべる人が多いでしょう。
大坂なおみや錦織圭はコーチをつけています。
メンタル面、フィジカル面、戦略面など、本人が強化したい面に対して、
コーチは的確なアドバイスや問いかけをします。
そして選手が試合に勝つという目標を達成するために欠かせない存在になっています。

近年、ビジネスにおいてのコーチもいます。
何のためにその商品やサービスを提供しているのかという「Why」に始まり、
どこを目指すのかというゴール、つまり目標を設定します。
目標に向けての戦略や戦術、モチベーションアップ、関わる人との良好な関係を
どう築いていくか? など、
「What」「Where」「When」「Who」や「How」「How much」の5W2Hを考えます。
経営者や管理職、営業マン、自営業等の方々が利用しています。

これらのコーチは、アドバイスというより、質問することで、本人の中から答えを
引き出します。

最近では人生におけるコーチライフコーチという人もいます。
自分は何のために生まれてきて、何をするのか? 何者なのか?
仕事だけでなく、生涯を通しての生き方、家族や友人との関わり方を
今までの人生経験の中から探り、価値観やアイデンティティー、使命を見つけて、
幸せに生きることをサポートします。

私はこのライフコーチをしています。

自分にもライフコーチがいて、人生が大きく変わりました。
ライフコーチは聖人や賢者、偉業を成し遂げた人、悟りを開いた人ではなく、
ちょっと先を見る視点を持つこと、つまりドローンの目線を持った人なのです。

私の住んでいる広島県には、日本三景のひとつ宮島があります。
世界遺産にもなっている厳島神社だけでなく、その島自体も神の島と呼ばれていて、
山頂の弥山(みせん)に上がる人が最近は多いのです。

ロープウェイで山の上まで行っても、ここから山頂まで30分の登山をしないと行けません。
登山道は、アップダウンがあり、途中石段の高さは一定ではなく、歩きにくい。
地面も土と石、岩があり、足元が危ういのでずっと下を向いて歩いてしまいます。
頂上がはるか遠くに思えます。

その足元に向いている視線を、ドローンを飛ばした少し高い位置に持ってきます。
そうすると、登りは後100メートル。
その先には本堂があり、山頂まであと一息だとわかります。
しかし、足元だけ見ていたら中々分かりません。
上を見ても木々に阻まれて先が見えなければ、どれほど来たのかも分からないのです。

私の人生においても、ずっと足元だけ見ていて、終わりが来ないのではないか
という時がありました。
それは、人からお金をもらえないということ。
自分なんかがこれでお金をもらうなんて10年早い。そう思っていました。
コーチングをボランティアでするのはいいけれど、お金をもらってするのは
自信がないので、できないのです。

せっかくコーチングを学んで、自分の生活習慣改善、早起きして夜更かしをやめるという
目標が達成できたのに、人にするとなったら急に責任がのしかかるのです。
結果が出せなかったら申し訳ない。だから自分に力が付き、100%大丈夫だと思えるまで
お金をもらってするべきではない。そう思っていました。

でも100%大丈夫の時なんて来ません。

ずっとお金をもらわずにするというのも、自分が苦しくなる。
私はここまでやっているのに無料なんて割に合わない。

何のために何度も何度も受講して、県外まで交通費や宿泊費を使って行ったのか分からない。
自分に腹が立ってくる。

始めは100人のコーチを無料でしました。その後、3,000円をもらうのも高いのでは、と思っていました。

そう、受け取ることを拒否していました。

私は、お金も含めて、受け取れないという山を登っていたのです。
その山がずっと続くと思うと、とても辛い。でもその時は、絶望的な気持ちも感じながら、
これが今の私にふさわしいと思っていました。

そこで、ドローンの高い視点から後ろを見てみます。
過去の同じような出来事を見つけ出し、検証してみました。

失うのなら、最初から持たない方がいい。
だから失う痛みを感じたくなくて、持たない、受け取らないことを無意識で選択していたのです。

25歳の私。
人からプレゼントもらった時、親から言われていたことを守り、
「こんな高価なもの申し訳なくて受け取れません」
と突っ返す。私は受け取らないことで気持ちが楽になっていたのかもしれない。

「あの時の相手はどんな気持ちだったのだろう?」
コーチはドローンの視点になって、出来事の別の見方を、考えさせてくれます。

渡す方もせっかく私のために時間を割いて、喜ぶと思って考えくれたプレゼントを、
素直に受け取ってくれなければ、残念な気持ちになるし、相手の気持ちを跳ね返すことにもなります。

自分からの見方だけでなく、相手からの見方、出来事の全体像という、
俯瞰した視点を気づかせてくれました。

まだ、私は25歳の時と同じことをやってるんだ、と「はっ」としました。

その後も、同じように受け取れない、受け取らない出来事を思い出します。

「今度は、申し訳ないと突っ返すのではなく、ありがとうという気持ちで受け取ろう」
そう気づきました。

そして、ライフコーチの質問は、

「気持ちよく受け取った後の世界は、どんな世界だと思う?」

ドローンを今度は先へ、未来方向に飛ばします。

自分が友達にプレゼントを渡すときは、
「これは彼女に似合うかな、薄紫は好きな色だからきっと喜んでくれる」
そう相手のことを考えながら選び、渡します。

その時に
「ありがとう。私にピッタリ! 嬉しい」
と言ってくれたらどんなに幸せな気分になるでしょう。
私も友達からプレゼントもらったら、感謝して受け取ろう

コーチングも、コーチングを受けた人が、
「自分がなぜ自信がないのか分かった。気づきが大きかった。ありがとう。
3,000円では申し訳ないくらいだ」
と言ってくれる。

コーチングを受けた人は感謝してその代金を払い、コーチも感謝して受け取る。

その金額が、5,000円、10,000円、15,000円……、と上がっていっても、
感謝して受け取る。

コーチを受けた人も、コーチも共に感謝し、お互いに幸せな世界。
受け取ることは感謝の循環なのです。

受け取らないことは、感謝の循環が、滞っていること。
それをしていたと思うとぞっとすします。

一つひとつの山を登っていく時、ドローンの視点で見られるようになるのに、
自分一人では中々難しい。

ライフコーチが、私の人生に登場することで、出来事の全体像を俯瞰する視点を
もらえました。

そして、人生全体を通してのさらに高い位置からの視点で、
その人の人生のテーマ、人生の目的、世の中にどのように貢献してくのかがわかれば、
人生が楽しみになります。

この先、ドローンが見せてくれるのは、
例え障害があったとしても、過去どのように乗り越えてきたか、思い出させてくれること。
同じような問題が続いていたなら、今度はどうするのかを考えること。
そして、今までの道のりから得た、知識や知恵や経験が、この先どのように役に立つのかと、
先の未来へどのように繋がっているのか、だと思います。

宮島では山頂の大きな岩を潜り抜けて、そこに見える風景は、360度パノラマの海と山と島の
瀬戸内海の絶景。空の青さが鮮やかで、白い雲とのコントラストが美しく、ウグイスの鳴き声と
吹き渡る風が気持ちいい。穏やかで晴れやかな世界。

山を登った先は、さらに高いヒマラヤのような山を目指すのか、山から海へと続く道なのか、
目の前の足元だけでなく、高さを自由自在に調節しながら、自分の人生を見ていくのも面白い。

私は、クライアントさんの人生にドローンの目として貢献できる喜びを、
これからもずっと続けていくでしょう。
そして、私自身もドローンの視点が人生の道先案内人になっていることにワクワクしています。

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